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商業BLのおすすめとか

  • 2013/05/22 01:03
  • Category:雑記

時間の流れが早くてびっくりしています。不真面目で腐っているマトノですこんばんは。

先に通販のお申し込みを頂いた方へのご連絡です。報告が遅くなってしまって申し訳ありません、数日前にクロネコメール便にて発送しました。一週間以上経ってもお手もとに届かないような場合はご連絡ください。

さて、では以前リクエスト頂いた商業BLのおすすめに進みます。実はすごく大量におすすめがあって長くなりそうなので、例によって畳みます。興味のある方にご覧頂ければと思います。

はじめに

私はもともとほとんど商業BLは読まないほうでした。なぜなら、本屋さんで立ち読みができなくなって久しい昨今、カップリングの好みが合わないなどの軽微なすれ違いが避けられないと思ったからです。せっかく買って合わないでは困るしなあ、と。しかしながら、数年前に友人からすすめてもらったものがあまりにも素晴らしく、人生損していた気分になったので、その後は買いまくり読みまくりになりました。結果、非常に有益な出会いが多くあったと思います。今日はその一部をみなさんにおすすめすることで、BLの輪がもっと広がればいいな、とふわふわした願いとともに書いていきます。

レーベルでおすすめ

最近はジャケ買いでは飽きたらず、レーベル買いしています。カップリングや作風の好みは、もちろん作者様と合うことがもっとも幸せだと思いますが、それに負けず劣らず重要なのが、編集担当様と合うことじゃないかと思います。何冊かレーベルをまとめ買いして、だいたいどれも自分に合うようなら、少なくともそのレーベルに一人は気の合う編集さんがいる可能性があります。要はレーベル買いによってマッチング精度が上がるのでおすすめ、というわけです。

現在、私は個人的には一迅社のgateauコミックスさん、または、ふゅーじょんぷろだくとのBe COMICSと気が合っていると思います。祥伝社のonBLUEもいいですね。といっても、2010年ごろまでは東京漫画社のマーブルコミックスだったので、以降も編集さんの移動につられて変わる可能性はあります。

殿堂入り作家

ここからは作家さん別でおすすめしていきます。全員死ぬほど尊敬する作家さんですが、字数節約のため以下敬称略とさせてください。あと、だいたいみなさん同人時代からファンです。思いついた順。順不同。注記がない場合は漫画です。

水城せとな
言わずと知れた大御所さんですね。近年では「窮鼠はチーズの夢を見る」が急激に有名になったかと思いますが(私これCDドラマ版まで持ってるんですが)、過去作品をぜひ読んでください。全部おすすめです。むしろ過去のほうがおすすめです。熱いです。とくに、私がいまだに読むたび泣きそうだしなんか紫ネズの香りがすると思って死ぬほど好きなのが、「1999年七の月~上海~」です。文庫版2冊にまとまっているはず。私はこれの絶版版を持っているのがひそかに自慢です。あと、「植物図鑑-水城せとな作品集-」「いつか好きだと言って」も持ってます。どちらも昭和の古き良き「SFやおい」感があってたまりません。
SHOOWA
しょうわさんです。最近はエロコメが多くなってきましたが、初期の作品がとくにいいです。深い。あと、オシャレではない方面でかっこいい。(書いてる自分も意味が分からないほめ方ですが、読んで頂ければ分かるはず)「向日性のとびら」、その続編の「ジンと猫は呼ぶと来ない」、「Nobody Knows」、「Non tea room」どれもおすすめ。というか出てるのは私全部持ってるんですけど。選べないんですけど。とくにこの四冊。カップリング感は紫ネズとは系統が全然違うと思ってますが、漫画としてすごく面白いです。
雲田はるこ
「いとしの猫っ毛」シリーズがほんわかしてかわいいと思ってますが、私が一番好きなのは「新宿ラッキーホール」です。ほか一般誌で「昭和元禄落語心中」が売れ売れのようなのですけど、BLもどんどん描いてください……と願っています。
山中ヒコ
初期からハズレを探すほうが難しいので常に作家買い。「エンドゲーム」全二巻はきゅんきゅんくるツンデレ年下攻め、「500年の営み」は泣ける懐かしSF、「ギブズ」極道もの。もっと古いのもいいですが、作風が確立されたのがエンドゲームからかなと思うところもあります。絵がまずスタイリッシュで、こんなふうに描けたらなあと憧れしかありませんし、さらに演出も巧みで、センスが無尽蔵だと毎回思います。
中村明日美子
一般誌というか成人向けですがエロティクスfという雑誌でデビューした当時から追いかけているので、本気でBLレーベルから本が出たときは大喜びでした。マジで。好き嫌いのある絵柄かなとは思うのですが、その場合も「ダブルミンツ」だけは間違いなく読んで損なしと思います。紫ネズっぽさというか、双子っぽさだったり耽美っぽさだったり。作風が合いそうだと思ったら、BLとは多少趣が違いますが「Jの総て」とかも読んでみたらいいと思います。もし明るい話が好きなら「同級生」シリーズになるのかもしれません。(私が単に個人的に「ダブルミンツ」路線が特別に大好物という)
のばらあいこ
「秋山くん」ががっつり人気出たので補足することはありませんし、秋山くんラブ。同人誌まで持ってます。その後の短編もいいですし、最新刊「ぬるくなるまで待って」もよかった。最高でした。「ネコジタスパイキー」の寄生生物フクロムシの擬人化も私はたいへん好きなんですが、世間一般から見るとちょっと気持ち悪い域なのかもしれません。分からん、のばらあいこ好き過ぎてもう分からん。
秀良子
ハズレないですね、全部いいです。私は「リンゴに蜂蜜」「彼のバラ色の人生」の連作が数十回読み返したくらい好きですけど、どれもマジでいいです。最近の「宇田川町で待っててよ」もかわいかった。最高でした。
ルネッサンス吉田
いや私は大好きなんですけど、好みが分かれると思います。極端にサブカルっぽいというか。私は大好きです。むしろBLとか萌えとかどうでもよくなります。なんか人生もどうでもよくなります。
雨隠ギド
商業BLではまだ数冊なのですが、一般誌も長く描いていらっしゃる作家さん。同人誌もだいたい好きなので好き。全買いです。一番好きなのは「悪人を泣かせる方法」で、ツンデレのお手本みたいな受けです。性格悪くてツンデレの受け、他ではなかなか読めないと思います。偉そうな言い方になってしまいますが、漫画の基礎がしっかりしていて読みやすい。
国枝彩香
多作なのでどれをおすすめしたらいいか迷いますが、暗くて珍しい系なら「番人」「春に孵る」、レディコミ系というか、読みやすくてほのぼのして家族みたいなBLがお好みなら「未来の記憶」・「風の行方」(二冊ぶんで愛蔵版一冊にまとまっています)、「50×50」あたりですかね。漫画として面白いです。一般誌は別名義で坂井久仁江、「花盛りの庭」があり、これも軽微なホモですのでおすすめ。
明治カナ子
薄暗くて独特の雰囲気があるので好きです。最近だとそれほどエロ要素はないですが「坂の上の魔法使い」シリーズがかなり完成度高いと思いましたが、エロであれば「惑溺趣味」かな。私はこれに出てくるショタっぽいお話が好きで、「泣いてる子は別人みたいに見えて、かわいそうというより怖かった」という表現が本当にもう、真に迫ってて切ない。
藤たまき
門地かおりも同時に紹介したほうがいいかもしれませんが、どちらも大御所だと思います。風格あります。極めて悪い言い方をすれば、“やや古い”文学的な表現が多いと思いますが、BLというよりやおいですね、懐かしいし新しい。温故知新です。切ない系、泣ける系多い。門地かおりはたまにぞくっとする系も。
木原音瀬
小説です。何を隠そう私が商業BLにハマったのは木原先生のおかげではないでしょうか。最近「箱の中」「檻の外」がなんと講談社文庫から出てしまって古くからのファンが大いに焦ったという、いやほんと、知ってる方には説明不要というくらい有名な方です。三浦しをんが「BL界の直木賞」って絶賛してたと思います。私はCOLDシリーズという三連作が一番好き。本当に泣きました。リアルに。ただ、たまに絶望本(読まなきゃよかったレベルの後味の悪い話)が混じってるので一応あらすじを読んでから買ったほうがいいと思います。それも込みでおすすめなんですが。「WELL」は後味悪いどころじゃなかった。しばらく吐きそうっていうくらい。でも、木原音瀬ほど、良し悪しを問わずただ大幅に人の感情を揺さぶることができるBL作家は、ほかにいないと思います。心から尊敬する先生です。
トウテムポール
ごく最近いいなと思ったら一気に四冊出たという、それも全部続き物という、私が一人で勝手に大喜びした作家さんです。「東京心中」シリーズ。絵が苦手だというレビューも見かけますが、そこは好みの問題で、ストーリーがめちゃくちゃ面白い、笑えるしエロいし人生勉強にもなる、語り口が多様で飽きない作風だと思います。好き。あと猫がかわいい。
雁須磨子
カリスマてんてーですね。一般誌も面白いですし、BLだったら「のはらのはらの」を読まずして語るなかれ。コマ割りとか独特なので、多少慣れが必要かもしれませんが、慣れたほうが人生楽しいと思います。かなり初期から好きです。一般誌なら「あたたかい肩」かな。大人っぽくてちょっと変ないい女がいっぱい出てくる。

ざっと本棚を見て書きだしていたのですが、まだ足りないような気が……思い出したら追記するかもしれません。草間さかえ・たうみまゆ・阿仁谷ユイジ・蛇龍どくろ・ヤマシタトモコ・まだまだ作家買いシリーズはありそうなんですが、自分が自信をもって「おすすめ!買って損なし!」ってなりそうなところだけを断腸の思いでピックアップしました。

単発でおすすめするなら……

一冊しか出ていない作家さんや、続き次第というものも含めて最後に少し追加。かなり偏ったもの、個性的なものが多いかもしれません。私のおすすめなのでお察しください……。

「高3限定」
梶本レイカ作。キツい。グロい。ホラーではないかと作者自身も言っている。そういう話ですが、メッセージ性が強いというか。ロックです。おすすめと言っていいかどうか分からない。目玉とか入れ歯とか出てても読める方ぜひどうぞ。
「かなしい人はどこにもいない」
山田酉子作。タイトルに一目惚れして買いました。どことなく切ない、あと不思議な感じの話が多いかな。成人向けでたくさん描かれている方です。
「刺青の男」
阿仁谷ユイジだったら私はこれが一番おすすめ、という作品。ネタバレを避けるのが難しいですが、どす黒い、暗い話です。意表をつく系。
「あかないとびら」
鈴木ツタ作。ツタ作品は「この世 異聞」が一番人気だし売れてると思いますが、私はこの頃が一番好きで、カバー裏までぜひ楽しんでください。ドS王子が好きなんですよね……。「メリーチェッカ」もよかったです。
「BODY TALK」
井ノ本リカ子作。ひたすらエロ。(あくまでもBLとしてですが)スカトロあり。なんかすごい、エロが。敢えて言うなら、性毛の描写がリアル。エロ本ってこういう展開で描くのか、という、男性向けの作品も多い作者ならではだと思います。
「王子と執事」
片霧ライラ作。ピアスシリーズなので察してください。エロだけがメイン。ピアスなのでしょうがないと思ってたんですけど、これはなんか、突き抜けてて面白かったですね。もうほんと突き抜けてる。「愛欲執事」が続編です。いい意味で頭がおかしい。
「笑い話のようだ」
じゃのめ作。この作者さん、ほんともっといっぱい描いてほしいです。これは方言男子萌えというか、強くてサバサバしててお兄ちゃんなキャラがどっこい受けで、小心者でどっちかというと嫌われ者でちょっと病んでるほうが攻め。さらに方言萌え。あーもうどこからどう説明していいか分からない。萌えすぎて。器のでかい優しい受けっていいなあと思わされました。全力で応援してます。
「暴れん坊専務」
宇野ジニア作。ちょっと一言では説明できないですね……ギャグなのか? 初の疑問形です。分からないです私にも。面白いんですけど。鬼瓦の面をつけた専務がイケメン。いやマジ、これ分からないです。誰か説明してほしいので読んでください。
「僕の先輩」シリーズ
羽生山へび子作。受けが変態ですね。ストーカー気質というか。いや普通に考えたら、かっこいいヤンキー×ひ弱な少年なので、一見極めて少女漫画的なカップリングだと思うんですけど、まったく一筋縄じゃいかないです変態なので。表紙と中の絵は全然違うのでそこだけご注意。わりと劇画っぽい絵です。そこが個性でもある。
「種を蒔く人」
テラシマ作。他の作品もいいんですがひとつ挙げるならこれかな……。純愛です。癒されますね、キツい話でもあると思いますが。読み応えがすごくある。
「千」シリーズ
岡田屋鉄蔵作。表紙を見ていけそうだと思ったらどうぞ、単なるBLというよりは濃厚な時代物+オカルトです。濃厚です。ガタイのいい男が出てくる。敬意と愛情をこめて個人的に座頭ビッチと呼んでいます。
「どうしても触れたくない」
ヨネダコウ作。説明不要、王道というか、誰でも楽しめる切ない話。きれいなハッピーエンド、そう、きれいなBLです。
「鮫島くんと笹原くん」
腰乃作。腰乃も作家買いではあるのですが、なんというか健全な感じが私はこう、どっぷりハマるほうではないので、もっとも精神的に不健全な感じのある鮫島くんをおすすめ。病気っぽさがいいです。秋山くんに通じるなにかもある。
「きみに注ぐ」
雲之助作。これも作家買いのなかからもっともおすすめを。ここまで「真面目に恋愛してる」BLはなかなかないです。マーガレットとか、王道の少女漫画作品に通じますね。
「あなたは私の希望の星」
さがのひを作。同じく作家買い中。この作品が私は一番好きで、なんというか、思った通りにいかなさがもどかしくて、それが切ないみたいな。もちろんストーリー自体も萌えがあるとは思うんですが、死亡フラグの踏み倒し方が斬新な感じで好きです。
「きみにあげる。」
槇えびし作。現在はアフタヌーンで「天地明察」のコミカライズを担当されている方です、昔はBLもありました。表紙絵の美しさに一目惚れして買った。そして読んでみてびっくり。これはあまり大きな声で言うと作者さんに失礼なので小声で、できるだけ小さな声で言いたいのですけど、キャラクターが紫苑とネズミに見えてきてしまって……一度そう見えると読み返すたびに関連付け回路が強化される感じで、しかも紫ネズです。まず絵が美しいので読んでみてほしい、というところに加えて、私と同じ病気を患っている方には別の楽しみ方もあるという。超おすすめです。

探せばまだまだでてきそうですが、ひとまず今日はここまで。私はBLだけじゃなく漫画はノンジャンル読みまくるので、酷いときは月に100冊以上余裕で読むので、なんか感覚たぶんおかしい、ので、Amazonレビューなども参考にしてみてください。これも個人的な探し方ですが、「誰もが☆5つつける」ものより、評価がはっきり☆5と☆1に分かれるようなもののほうが、個人的に当たりが多いです。なんででしょうね、いろんな読み方ができるのが好きなんだと思います。

以上、みなさんのBLライフが充実しますように……!

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